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2010年9月 4日 (土)

小人閑居して・・・

小人閑居して不善をなす。

心の狭い小人物は暇があると良くないことをする。

今日は朝から雨。 雨と言うだけですぐに心がくじける小人である。

昨日の夜までは 平日に出来なかったことをやるぞ、と考えていたのにこのザマである。

まことに小人。

日本は過去113年で一番の暑い夏。 35度C以上が何日も続く。異常気象だとのお墨付きまで出た。

バギオは・・・「寒い!」

今後5日間の予想気温は 最低16度C、最高23度Cである。

セーターを着て、厚手の靴下を履き、毛布をかぶって、テレビを見ている。

ちなみに 東京は・・・

最低26度C、最高34度C。

ついでに フィリピンのマニラはと言うと・・・

最低23度C、最高33度C。

南国フィリピンも真っ青の日本の猛暑である。

5年前にバギオに来た当時、バギオの土産物屋に毛糸の帽子が売ってあったり、セーターを着て、その上にジャンバーを羽織って歩いている人たちを見て、「信じられない」と思っていた。 それが、今は、自分がその格好をしてしまっている。

それに、バギオの地元の人間が「寒い」などと言うと、「何が寒いの?」と笑っていたものだ。 地元の山岳民族などの民族衣装は 伝統的に男はフンドシ、女は腰巻、上は基本的に裸ではないか。

旅行ガイドブックなどを見ても、フィリピンの年間平均気温は26~27度Cとある。

寒いわけがない。

日本には春夏秋冬の四季がある。

そして、気温の変化に従って、暖かい、暑い、涼しい、寒い、と季節は繰り返す。

・・・で、私は日本語教師。

この、暖かい、暑い、涼しい、寒い、という単語を どう教えるべきなのか。

私は直接教授法で教えているから、英語への翻訳は全くやらない。

WarmHotCoolCold と言ってはいけないのである。

さあ、日本語でどう説明する?

暑いは 30度C、 寒いは 5度C と書けば分かる。

問題は 涼しい、暖かい、である。

辞書を引いてみたところ:

「涼しい」- 

国語辞典: 暑くなくて、気持ちが良い。 空気が少し冷たく感じられる状態だ。

類語辞典: 気温が快適な程度に低く感じられる感じ、さま。

漢和辞典: (水)と、ここでは、つめたい意(冷)とともに音をあらわす(京)を合わせて、水がつめたい意をあらわす。 そこから、「すずしい」意味に使う。

「暖かい」-

国語辞典: 寒くなくて、気持ちが良い。 

類語辞典: ほどよい温度で快適な状態である。

漢和辞典: 「日」と、ここでは、あたたまる意(温)とともに音を示す(エンー>ダン)とを合わせて、太陽が照って、「あたたかい」意味をあらわす。

どこにも 「春は暖かい。」「秋は涼しい」という説明はない。

上の説明の中で 「空気が少し冷たく感じられる」のは「夏から冬へ向う時期」と重なるから、秋と言ってもいいだろう。

「寒くなくて、気持ちが良い。」という説明は 春でも秋でもと言えるが・・・

まあ、素直に「冬から春になれば、今までよりも寒くなくて、気持ちがよい。」と了解しましょう。

しかし、日本人が寒いと感じるのは おそらく 10度C以下じゃないか。

20度C程度で「寒い」などと言っている俺は なにごとだ。

バギオ滞在5年ともなると、身体が、地元の「四季」の変化に順応してきたと言う事なのだろう。

「寒いから暑いへの間は暖かい」

「暑いから寒いへの間は涼しい」

これなら 文句ないんじゃない?

    

心の狭い人間は、雨の降る日に、こんなことを考えて、それで十分しあわせを感じて、暖かくなるのでありました。

    

不善は楽し。

  

 

 

 

 

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2010年9月 2日 (木)

手に職 

三人の男たちが路上に座り込んでいる。

背中の後ろは道路。 ジプニーやタクシーなどが忙しく通り過ぎる。

3歳くらいだろうか、男の子が男の背にもたれるように立っている。

そして、その男の子に 小学校低学年くらいの男の子達3人が声を掛けている。

年齢は小学生くらいだが、その身なりからすれば 小学校には行っていないだろう。

「なまえ なんて 言うの?」

「・・・・」

男の子は きょとんとしている。 

三人の男達が座っている その前には 平べったい箱に ペンチやら針金やら 一見ガラクタにしか見えないような金属の棒などが入っている。

以前通りかかったときには、何を売っているんだろうと思ったものだ。

傘の修理屋である。

バギオに来てからというもの、何本の傘を失くしたことだろう。

そして今は 骨が折れて変形した日本製の傘と、SMバギオで買って 一週間で柄がすっぽ抜けてしまった傘が 手元に残っていた。

「さすがに、いよいよ・・・だな。」

壊れた傘のコレクションをしている場合ではない。

毎日 午後になると 定期便のようにやってくる大雨。

珍しく雨の降らない日であれば、今日を逃したら 後が面倒だ。

・・・

バギオの目抜き通りの一番下。 マハリカ・ビルの前の歩道。

人通りも結構多い狭い歩道に、いろんな物売りたちの中に その男達三人は座り込んでいる。

「これ いくら?」

「二本 折れているな」

男は 無残にひん曲がった傘を広げて チェックした。

「40ペソ」

私は カバンからもう一本を取り出した。

柄が抜けてしまった傘である。

「これは?」

もう一人の男に傘を渡して聞いた。

「35ペソ」

「・・・じゃあ、二本で70ペソにしてよ。」

「OK」

私は 値切るのが 苦手である。

値切るより、男達の仕事を見ている方が 面白い。

骨が折れてしまった傘を修理している男は、一本一本の骨を丁寧に調べ、余計なものを取り外しにかかった。

そして、折れた骨を 手持ちのガラクタの中から選んだ骨と 取り替えて 動きを見ている。

ペンチが手際よく動いて、傘の形が整った。

男は 一本一本の骨を指でチェックして、骨と布を留めている糸の強度をみた。

針と糸を箱から取り出すと、糸のはずれた箇所を縫っていく。

手元のボタンを押して、傘の開閉を試す。

仕事をする手は いくら観ていても 飽きない。

Img_0865

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2010年8月29日 (日)

戸籍とメンテナンス

今の私は とりあえず日本語教師が本業となっている・・・・している。

日本語教師だけでは生活できないから、細々と翻訳業もやっている。

フィリピンで出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書などを翻訳したり、その身分に関わる裁判所の判決文などを見ていると、フィリピンって なんといい加減な国民登録制度をやっているんだろうと思ってしまう。

出生証明書に Baby Boy だの Baby Girl などと、まだ名前さえ決まっていない赤ん坊が登録されてしまっている。

どうもこれには訳があるらしい。 特に北ルソンの山岳地帯などでは、電気もないような山奥の村から 出生届けをする人が 最寄の役所にやってくるだけでも大変なことで、いくつも山越え谷を越えで、何時間も、あるいは何日も掛けてやってくるそうな。

時には、親がこの子の名前は XXXだよ と その届出人に頼んでも、届出人が届出に行く道すがら、その名前を忘れてしまうこともあったげな。

出生証明書での名前の表記の間違いも頻繁で、これはアルファベットでの表記をきちんと確認しないまま、口頭だけで届出をやっているんじゃないか、口頭で聞いた名前を 役所の登録官が適当に、聞いたままにスペリングをしているんじゃないかと疑ってしまうケースが多々見られる。

その証拠に、 子の名前が、そのスペリングが違うから、訂正をしてくれと言う 裁判沙汰が結構多い。

フィリピンのこういう状況を見るにつけ、本当にいい加減な国だなあと思っていた。

ところがどっこいである。

世界に冠たる戸籍制度を持つと言われている日本で、200歳の人が生きていることになっているって言うじゃないか。

ってことは、戸籍制度は 100年くらい前から ちゃんとしたメンテナンスがされていなかったってこっちゃいないっすか?

私は製造業で長年働いてきたんですけどね、少なくとも 日本人の細やかさ、律儀さ、几帳面さは、工場で使う道具や装置のメンテナンスの上で、フィリピンとは雲泥の差があると思っていますよ。 ・・・思っていました。

日本のメンテナンスは不具合が出ないようにメンテナンスするのに対して、フィリピンのメンテナンスはトラブルが出たら修理するというモグラたたきスタイル。

日本のメンテは 道具や装置にへばりついたゴミや汚れを顕微鏡でチェックするという念の入れよう・・・

なのに、なのに、なのに・・・

どうすりゃいいのさ思案橋。

戸籍制度がいい加減だった?

勘弁してちょうだいよ。

大都会の住人の生死がきちんと把握できなかった、ってんならまだ理解できますよ。

でも、日本の田舎でも ちゃんと把握できていなかったってんでしょう?

どうなってんの 日本の家族 !

・・・・・

地元の人に聞いてみたんです。

「フィリピンでは、 一人の赤ん坊が生まれた時に、複数の場所・役所で 複数の届出ができるの?」

「うん、出来るよ。 特に病院じゃないところで出産したらね。」

「コンピューターでの管理もされていないしね。」

だそうです。

おまけに、びっくり仰天。

「シングル・マザーだったら、出産した自分の子供を、親の子供として登録することだって出来るんだから・・・。」

「・・・ん?」

「つまり、生まれた赤ちゃんを その祖父母の子として 届け出ることも出来るってこと。 登録上 赤ん坊と その母親が 兄弟姉妹になるってこと。」

そんな手を使って、自分のプライバシーを守ることも出来るのが フィリピンらしい・・・ですよ。

でも、日本の戸籍制度みたいなものがあるのは、韓国と台湾だけらしいですね。

(ちなみに、ちょっと調べたら、その韓国では2008年に戸籍制度が廃止されて新しい制度に変わっているようです。 叉 台湾でも運用停止の状態だとか・・・)

世界の常識は フィリピン・スタイルだそうです。

みくびってはいけません(?)

  

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