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2012年11月 1日 (木)

ある男の誤算 -「日本を捨てた男たち」の人生の破綻 - その2

「日本の銀行預金とかは、残していないんですか?」

湧井隆一は、妻の母国であるフィリピンへ来る前に、
日本の資産をすべて処分していた。

元国家公務員のような仕事をしていた人なのに、海外で生活する
上でのリスクのことすら考えないというのが 私には信じられない。

「全部処分して、こっちに持ってきたんです。」

「お金の管理はどうしているんですか?」

すべてのお金は、妻が管理していると言うのだ。

「それで、そのお金は 自分名義の口座じゃないんですか?」

「妻が、私の名前では口座を作れない、って言ったんです。
私は英語が出来ないもんだから・・・・」

フィリピンにも、湧井の名義の預金はなかった。

「いざと言うときのお金は どうするつもりだったんですか?」

「日本円を200万円くらい現金で銀行の貸金庫に預けたんです。」

現金を日本から持ってきた?
そんな大金を、現金を、フィリピンの持ち込むこと自体
違法だしリスクが大きいのに・・・

「それは自分で出し入れできるんですか?」

「いや、それも妻が出し入れしてくれてたんです。」

湧井は、自分が直接管理しているお金は、何もないというのだった。

「その貸金庫の円も、妻が何かに使ってしまったんです。」

いくら妻を信頼していたからって言っても、
それはあまりにも不用心ってもんじゃないですか?

「マンゴーの畑を買ったんです。 それに、小さなレストラン
みたいな店もやっているんです。 ・・・でも、経営が
どうなっているのか、帳簿や報告書を見せてくれと言っても
妻は何も話してくれないんですよ。」

勿論、これらの土地や店の名義も湧井の名義ではなさそうだ。
何からなにまで、すべてを妻に握られ、英語が分からないから
お金をどう使われたのかも、契約の内容も分からない。

「最近は、妻と会うこともほとんどなくなってきて・・・・」

「なにかビジネスをされているんですか?」

「何かやっているらしいんです。 でもそれが何だかも・・・・」

日本では しっかり夫婦をしていたのに、今ではそれも無くなって
しまったと湧井はこぼした。

「ビールも飲めないんですよ。 妻がお金をくれないんです。」
「じゃあ、どうしているんですか、今は。」

「一日に5ペソとか10ペソくらいしか使えないんですよ。
タバコも1本ばら売りのを買っている始末ですよ。」

「それじゃ、どうにも動けないじゃないですか。」

「日本に姉がいるんですけど、電話もさせてくれないんです。」

その3へ続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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