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2012年12月 1日 (土)

その6 中村元著「龍樹」ー 大乗仏教の思想の流れ

中村元著「龍樹」の中の、
「 II. ナーガールジュナの思想 ー 「中論」を中心として 」
を読んでいきます。

まずは、「1. 大乗仏教の思想」から。

p56
ー 紀元100年前後の仏教界においては、伝統的保守的仏教が
  圧倒的に優勢な社会的勢力をもっていた・・・
  ・・新たな宗教運動が起こりつつあった。
  それがいわゆる大乗仏教である。

p57
ー 旧来の諸派は、・・・歴史的人物としてのゴータマの直接の
  教示に近い聖典を伝えて、伝統的な教理をほぼ忠実に保存している。
ー 大乗仏教徒は全然あらたに経典を創作した。
  ・・釈尊は・・・理想的存在として描かれている。

ー 旧来の仏教諸派は・・・政治的・経済的援助を受け、広大な荘園を
  所有し、その社会的基盤の上に存立していた。
 
ー 大乗仏教は、・・民衆の間からもり上がった宗教運動であり、
  荘園を所有していなかった。
  ・・その信仰の純粋にして清きことを誇りとした。

ー (大乗仏教は)富を布施することは非常に功徳の多いことであるが、
  しかし経典を読誦・書写し信受することのほうが、比較にならぬほど
  はるかに功徳が多いといって、経典の読誦を勧めている。

ー 正統的仏教諸派は・・・人里離れた地域にある巨大な僧院の内部に
  居住し、静かに瞑想し、座禅を修し、煩瑣な教理研究に従事していた。

要するに、従来の部派仏教(上座仏教)はお金持ち集団の修行の場、
大乗仏教は庶民の信仰の場という雰囲気でしょうか。

p58
ー 大乗仏教は・・・利他行を強調した。
  大乗仏教では慈悲の精神に立脚して、生きとし生けるもの(衆生)すべて
  を苦から救うことを希望する。

ー 自分が彼岸の世界に達する前に、まず他人を救わなければならぬ。
  かかる利他行を実践する人を菩薩と称する。

ただ、こういうことを凡人がやるのは大変なので、煩悩の多い庶民でも
出来る方法というのを考えだして、

ー 諸仏・諸菩薩に帰依し、その力によって救われ、その力にあずかって
  実践を行うことが説かれた。

従って、この為には純粋な信仰が必要だってことになって、
お釈迦様の位置づけが 超人的な崇拝すべきところまで上げられたってこと
のようです。

ー 大乗仏教においては、三世十方にわたって無数に多くの諸仏の出生
  および存在を明かすに至った。

つまり、いろんな仏様が続々と出てきたってことですね。
例えば、有名なところで、阿弥陀仏、薬師如来、弥勒菩薩、観世音菩薩、
文殊菩薩、普賢菩薩、などなど。

そして、それが仏像という形をとるようになっていった。

p59
ー 中央インドのマトゥラー市と西北インドのガンダーラ地方とが
  仏像政策の中心地であった。
  前者は・・インド国粋美術の伝統に従っているが、
  後者にはギリシア美術の影響がいちじるしい。

そして、大乗仏教を広めていく方法として、

ー 仏・菩薩を信仰し帰依するならば、多くの富や幸福が得られ、
  無病息災となると説いている。

ー 教化の重要な一手段として咒句(陀羅尼)を用いた
  非常な成功を収めた。 しかし同時に大乗仏教がのとに堕落する
  に至った遠因
をここにはらんでいるのである。

初期の大乗仏教は、信念と信仰とを華麗巨大な表現で盛り上げたような
宗教的文芸作品である、と書いているんです。

確かに 過去に読んで来た 「ブッダのことば」、「般若心経」、
「阿弥陀経」なんかの中で言えば、特に「阿弥陀経」」にはそれが
はっきり出ていたように思います。
http://baguio.cocolog-nifty.com/nihongo/2011/11/post-cafd.html

私の感覚としては、小乗仏教は修行法であって、大乗仏教になって
始めて宗教になったんじゃないかとさえ思えるのです。

では、次回は「般若経典における空観」を読んでみます。

==その7へ続く==

 

 

 

 

 

 

 

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