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2013年5月 8日 (水)

フィリピンの教育革命 - Dynamic Learning Program は教科書を使わない,宿題もない、のに 成績が急上昇

NHKのテレビでフィリピンの教育のことをやっていたので
たまたま見てみたら、これが凄いんです。
http://partners.smart.com.ph/dlp

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フィリピンの教育は、難題が山積み状態:

ダイナミック・ラーニング・プログラムのサイトで探し出した、
こちらの動画での説明を読むと、こんなことが書いてあります:
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=nBJNKY32lvI

1. 教室に生徒が詰め込まれている。
   NHKの番組では、確か1クラス60名と言っていたと思います。
   そして、学校は二部制で、午前の部は朝5時からだったかな・・
   毎年100万人、子供が増え続けているらしい。

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2. 正規の先生の数が足りない

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3. 教材、備品、本が 足りない

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4. 標準テストでの成績が悪い生徒を作り出している。
   (特に数学と科学)

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5. 学校の予算が足りない。

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これらの、ないないづくしのフィリピンで、画期的な教育のやり方が
じわじわ広がっている。

それが Dynamic Learning Program なんですね。

「教える」プログラムじゃなくて、「学ぶ」プログラム Learning
Program なんですね。

アジアのノーベル賞と呼ばれている マグサイサイ賞を受賞した
ご夫妻によって考案されたものだそうです。

2010 Magsaysay Award to the couple Christopher Bernido and
Ma. Victoria Carpio-Bernido
http://likas-philippines.org/ang-pilipinas-ngayon/features/ako-ay-pilipino/244-christopher-and-ma-victoria-bernido-won-the-2010-magsaysay-award.html

「ないないづくし」のフィリピンの社会経済的条件の中で、
これこそフィリピンに最適な学び方であるということのようです。

そしてその特徴は:

1. 低予算ながら効果絶大
2. 歩みの遅い生徒にも速い生徒にも適した学び方
3. どんな教室のサイズ・生徒数にも採用できる
4. 学業成績の向上が見込める
   数学、工学、技術、科学の分野

さて、このDLPがどのようなものかと言いますと:

1. 従来の教育は教師主体の教育であった。
   授業の80%は教師の講義である。
   生徒の活動は20%だけ。

2. DLPは、80%が生徒による活動になる。
   先生の講義は20%だけ。
   プロセス重視の学習になる。

3. DLPは、生徒が動いて学ぶ。

4. 「しゃべる」よりも「やる」ことを重視

5. コンセプトをマスターする。

   
6. 難しい問題に 頭脳を使う。

7. 午前中は 数学と科学の時間。

8. 頭脳をあまり使わない科目

9. 午後の授業は、国語、英語、人文社会科学

では、どのように運営していくかっていいますと:

10. 熟練した教師は 3つのクラスを同時に
    扱うことが出来る。

    (この場合は教師1名、世話役2名の組)

11. 生徒は自分で学ぶ

12. ファシリテーター(世話役)が他の2クラスの面倒を見る。

13. 生徒は黒板に書かれていることをすべてノートに書き写す。
    しっかり記憶・保管される。

14. 活動を基礎にした複数の分野に渡る学習である。

15. 事前の講義はなく、生徒は活動を行う。
    批判的思考法を開発する

16. 生徒は学校の中だけで活動する。
    親の手助けはいらない。
    生徒が責任を持つ。

17. 水曜日は体育の日
    頭を休ませる。

18. 週に四日だけアカデミックな勉強をする。

19. 宿題はない。

20. 家族との時間を大切にする。

21. 家庭では頭を休めて、脳の開発に備える

それで、このDLPを実施したら、どうなったのかっていうと。

22. DLPを導入後、ハイスクール卒業生のおよそ10%が
    UPCATに合格した。

ちなみに、UPCATというのは、UP College Admission Test (UPCAT)
のことでして、日本だったら東京大学に相当するフィリピン大学への
入学資格試験であるようです。
http://upcat.up.edu.ph/htmls/aboutupcat.html

23. フィリピン教育省が実施している数学の試験では、
    90点以上の得点を取った生徒が、

    2001年度  1.5%
    2007年度 12.3
    2008年度 14.7
    2009年度 18.3
    2010年度 51.0

24. フィリピンの共通学力試験である NSATとNCAE
    成績の分布が向上した。

    2001年度  成績の悪い生徒が多かった。
    2006年度  成績が平均的なレベルになった。
    2009年度  成績が上位のレベルになった。
    2010年度  上位レベルの生徒が増加。

ところで、NSATとNCAEというのは、
NSAT = NATIONAL STUDENT ASSESSMENT TEST
NCAE = NATIONAL COLLEGE ASSESSMENT
の省略形です。

25. このDLPを実施するためには、教師の中での、チームワークと
    プロフェッショナルとしての力量が試される
ことになります。

26. そのことによって、高い技能、高い能力のある、世界でも
    競争力を発揮できる卒業生を送り出すことができるのです。

27. そして、より多くのフィリピン人の生活を向上させることができます

このプログラムの凄いところは、
結果がきちんと出ているということはともかくも、
フィリピンの教育の現状を踏まえて、その現状に合った対策を
実施可能なやり方で克服しようとしていることだと思います。

「これがないから出来ない。 あれが無いから出来ない。」
と言うのではなく、現状を踏まえながら、発想を大胆に変えることで、
それも脳の働きを科学的に考察したうえで、詰め込み主義とは逆の
やり方、勉強をしたいという子供本来の能力を開花させている
ところが凄いと思います。

少子化の日本、ゆとり教育が失敗したと言われている日本、
本、備品、先生、予算などは潤沢にある日本。
そういう日本が未だに詰め込み主義の画一主義から抜け出せないで、
集団主義的発想を変えられないというのは皮肉としかいいようがありませんね。

学校が足りない、午前・午後の二部制にしても教室が足りないフィリピンで、
このような個人を大切にした、家族の時間を大切にした、教科書も
宿題もない教育が 
素晴らしい成果をあげていることを
日本の教育界は学ぶ必要があるのではないでしょうか。

フィリピンのこの自由な発想が、日本に追いつき、追い越すだろう
未来を想像させてくれます。

youtubeにもありましたので、是非動画でご覧ください。

http://www.youtube.com/watch?v=cmYljCepS-8

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

yumiさん、こんばんは。
そうですか。 シュタイナーももんてっそーりも知りませんけど、何もかもが不足しているというフィリピンの現状から出てきたやり方というのが素晴らしいと思います。
脳みその使い方を科学的にやろうよという点もいいですね。
  

投稿: させ たもつ | 2013年5月 8日 (水) 21時13分

シュタイナーやモンテッソーリからの発想のようですね。この方法は、先生の力量が試されると思います。
でも 現状を変えていく力になりそうで 楽しみですね

投稿: yumi | 2013年5月 8日 (水) 15時54分

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