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2014年2月11日 (火)

フィリピンの歴史教科書から学ぶ 02 アダムとイヴか、進化論か

 

HISTORY OF THE REPUBLIC OF THE PHILIPPINES

WRITTEN BY GREGORIO F. ZAIDE

フィリピンで極一般的に使われている歴史教科書を 元大学教授で

歴史の教鞭をとっていたRolando氏に教えていただきながら、雑談をして

いきます・・

 

 

 2 ORIGIN OF THE FILIPINOS 第二章 フィリピン人の起源

 

 

THE DAWN OF PHILIPPINE CIVILIZATION フィリピン文明化の夜明け

 

P28

 

― キリスト教の天地創造への信仰と、西欧の科学的進化論との

  間で、深刻な論争がある.

 

― 進化論は神を否定し、人類は人類の知恵と生存適応競争の中で

  偶然の条件によって地上の主となった. 

 

― ほとんどの社会科学の本は進化論を事実として受け入れている.

  しかし、類人猿からホモ・サピエンスへの進化のつながりには

  「ミッシング・リンク」がある.

 

== 日本人的には、びっくりなんですが、歴史の教科書に

   天地創造なんてのが出てくるんですね・・・

   まあ、しかし、日本だって戦前は神話を教えていたわけで・・・

   アメリカあたりでも、進化論を認めない人は多いらしいですね.

 

― フィリピンの起源の説明にはいくつかの論がある:

  1- スペイン植民地時代の神学者の説明 (ノアの末裔)

  2- 伝説及び神話(フィリピンの民話)

  3- 科学的理論

 

― フィリピンの民話のひとつ:

  昔むかし、大地はありませんでした. 空と海だけがあり、そこに

  一羽の鳥が飛んでいました.

  その頃は、空は随分低く垂れていて、海にキスをしそうな近さ

  でした.  長いこと鳥は飛びまわっていたのですが、ある日、

  とても疲れてしまって、休める場所を必死に探していました.

  でも、そんな場所はありません.

  頭の良い鳥は、一計を案じて、空と海に口論をさせます.

  怒った海は、空に向かって大波を投げかけます.

  空は、濡れちゃいけないと、上の方に登りました.

  どんどん高く上がっていって、登り詰めるのですが、泡立った波は

  追いかけてきます.

  空は、仕返しに、たくさんの岩を降らせます、そしてそれが

  荒れ狂う海を静めたのです.

  このたくさんの岩から最初の島々が出来て、フィリピンも

  創られたのです.

 

 

― 科学的な理論では、以下の3つがある:

  1- 失われた大陸の一部である

     失われた大陸は「Lemuria」とか「Mu」などと呼ばれていた.

     ボルネオ、セレベス、ジャワ、スマトラ、その他の太平洋

     の島々は、その名残だとされる.

  2- 火山に起源がある

     海底火山の爆発による

  3- 大陸間をつないでいた陸地の理論

     フィリピンはかつてアジア大陸の一部であった.

     ほとんどの科学者はこの説を支持している.

     かつてスンダ・シェルフと呼ばれていた陸地が、海面上昇に

     よって水没し、今のフィリピン列島が形成された.

 

=== Rolando教授がコメントしていた意味が分かってきました.

    皆さんも同意されると思うんですが、

    日本の歴史の教科書とは まったく違う書き方ですね.

    やっぱりこの著者は、少なくとも考古学者ではなく、

    著述家なんですね.

 

    歴史家と小説家の違いが奈辺にあるのかはっきりはしませんが、

    少なくとも科学的に検証された結果で、一般的に事実と

    認められたものを歴史として国民に教えるというのが

    日本でのガイドラインだとすれば、これはアウトですよね?

 

    民話などは、社会科または国語の時間に扱う内容だろうし、

    ムー大陸などは 私の時代は 漫画雑誌ぐらいにしか

    載っていませんでしたよ.

 

    しかし、見方を変えれば、権威にしばられて、あるひとつの

    学説しか教えないということよりも、もしかしたら

    視野を広くして、新しい発見を促すことに繋がるのかも

    しれません.

 

 

 

― フィリピン人の起源

  誰がフィリピンに最初に定住したのかは、誰にも明確には分から

  ないだろう・・・

 

― フィリピン人の起源についての4つの学説

  1- 宗教的起源

  2- 伝説

  3- 民族移動理論

  4- 中核的人口理論

― 「夜明けの人類」-ネグリト人-インドネシア人―マレー人

  まずパナイ島にボルネオのダトゥ 10名などが定住した・・・

 http://en.wikipedia.org/wiki/Datu

 Datuとは支配者、国王などの称号を指すようです

 

― 修道院歴史家の説

  スペイン植民地となって初めて、フィリピンの最初の歴史が書かれた.

  1- フィリピン人の祖先は、野生植物のように土から生まれた

  2- 太陽によって創造された

  3- 古代の錬金術師によって母材となる金属から創り出された

  4- アジアのアダムに繋がっている.

  5- ノアのひ孫 Tarshishの子孫である (聖書に基づく)

 

― 上記の5の説は、宗教的にも科学的にも共通した理論となりうる.

  しかし、クリスチャンは すべての人類は アダムとイヴに

  繋がっていると信じているし、科学者はホモ・サピエンスだと

  考えている.

 

 

=== しかし、この教科書には、歴史の本なのに、

    年表もなければ、写真なども一切ないんですねえ・・

    ただただ、ぎっしり文字だけで書かれた、まるで小説のような

    ものを読むだけです・・

    挿絵すらないってのが、ある意味凄い・・・

    日本のカラフルで、参考資料もしっかり充実し、手の込んだ

    教科書は、なんと豪勢なことでしょうか.

    どういう教え方を教室の中ではやるんでしょうか.

 

    それにしても、キリスト教の影響はすごいですね.

    聖書か進化論かの議論が教科書に載せてあるんですから・・・

    公立学校はともかく、キリスト教系の学校ではどうして

    いるんでしょうか・・・

 

== シリーズ 03 に続く ==

 

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