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2016年4月 2日 (土)

ややこしい日本語 - 11 日本語に時制はない・・って? どう教えるの?

先日 私の日本語のクラスで 日本語能力試験対応の為に
模擬試験の練習をやったんです。

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それで、その問題のひとつがこれ・・・
23番の答えなんですけどね。
正解はどれだと思いますか?

「はい。 もう読んでしまいますから、よかったら どうぞ。」
「はい。 もう読んでしまいましたから、よかったら どうぞ。」

あなたは、どっちがいいですか?

これは、試験問題なんで、どっちかに決めなくちゃいけないんです。
一応 解答例は 2 が正しいってことになっているんです。

だけど、1 だって正しいですよね。

Img_6690

そこで、これをどう生徒達に教えるかが大変なんです。

つまり、いわゆる「時制」ってのを踏まえなくちゃいけない。
過去・現在・未来・・・ってことですね。

ところがどっこい。
日本語には 時制はない」っていう学者もいるわけです。

こちらをご覧ください。

http://plaza.rakuten.co.jp/samito07/diary/200803070000/

「日本語には英語の時制に相当するものがない!
という事実です。つまり、我々が使っている日本語には英語のような
時制という概念がないのです。しかし、残念ながら日本の英語教育では
英文を訳すという作業をさせることから、中学の頃に日本語にも英語の
ような時制があるかのような錯覚を覚えてしまう
学習者が多いのです」

・・・・・

・・で、いろいろ検索をしてみまして、みつけました。

日本語の時制表現と事態認知視点」という論文です:

https://ds.lib.kyutech.ac.jp/dspace/retrieve/2496/higuchi14.pdf

これは、なかなか示唆に富む論文でしたので、私の授業に
どう反映するかを試行錯誤しているところなんです。

Img_0006

この論文の最初のところで、
いきなり 「時制とは何かということについての言語一般
当てはまる定義の様なものが存在する訳でもない。」
って書いてあるんですねえ。
面白いですねえ。

ここで、日本語と英語を比較してあるんですけど、
明らかな違いが この文例で分かります。

Img_0010

例として書かれているのが、
本を買った学生が来た」というひとつの日本語の文に
対して、上のように 3つの英文があるってことですね。

日本語が「曖昧だ」って言われる所以ですね。

ここにも、
「日本語の時制研究の多くは、その時々の英語の時制の意
記述を土台としている」
とあります。

文明開化のころに、日本語は駄目な言語だから、
日本人の言語を英語にしようって文部大臣もいたそうですから、
日本語研究も英語研究に依っていたってことですね。

Img_0014

じゃあ、日本語ってどんな言語なの? ってことになると、
ここに 
コンテクストによる解釈にかなりの部分を委ねることができる日本語」
「コンテクストによって解釈するようにできている」
などと書かれているんです。

英語と違って、日本語は、
「何故語り手から作中人物へと 何の断りもなく 視点が移動できるのか」

なんてことが書いてあります。

日本の国語の先生に、
「国語の指導というのは、どのように文章を解釈するかを教えるものだ」
と聞いたことがあります。

要するに、日本語の文脈をどのように理解するかという話なんですね。

・・・

Img_0019

論文のここには、英語の時制のことが書いてあります。
英語の場合には、
「何の断りもなく飛ぶことは殆どない。 
基本的には時制が一定でないと理解できないからである。」
「話者の位置や主語を抜きにしてはものが語れない」

一方で、日本語の方はと言えば、
「日本語で自由に混交できるのは、日本語の時制にはその様な
制約がないからだと言えよう。 事態だけを描くことができる。」

・・・さらに、一番下の欄外に:
Where am I? ・・・日本語では見える状況だけを言語化する」

・・などと書かれているんです。

日本語に主語はいらない」なんて本も読んだことがあるんですが。
確かに、日本語では、主語がどこにあるのかが分からない。
少なくとも表現には明示されないことが多い。
しかし、文脈で日本人同士は理解している・・みたい。

これを読んでいると、日本語って本当に 主体が不在の言語のように
思えてきますね。

コトが中心の日本語」っていうのは そういうことを
言っているように思います。

一方で、他の本で随分前に読んだんですけど、
英語の場合は、上空から「神の視点」で地上のことなどを
描写する言語だって話らしいんです。

だから、上空から地上を俯瞰しながら、主語が誰かを
明示しながら、時制もはっきりさせながら、しゃべる。

「コトが中心」の日本語ってことは、
地上にへばりついた視点しかなくて、
要するに、出来事の中に日本人が溶け込んでいて
その中で 描写の視点が あっち飛び、こっち飛びしている
ってことになるんでしょうかねえ。

これって、なんだか、自然の中で、八百万の神々と一体に
なって、自然災害の中でも 人が中心ではなく
自然に起こることどもに身を任せている日本人をイメージさせますね。

・・・・・

そんな議論をいくらしたところで、さて、授業の中で
どう教えるんだってことが残るんですけど・・・・

Img_0024

この絵は 使えそうかな・・って思うんです。

この結論のところに書いてある抽象的なものを
どんな例文を使いながら、上の絵のイメージと結びつけるか。

それが私の仕事・・・ですかね?

Img_0030

論文の最後に、「認知文法」って言葉が出てきたんですけど。

十数年前、まだ日本語教師養成学校で勉強をしていたころ、
こんな本を買ったんです。

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私の本棚で ぐっすり寝ていた本です・・・
今頃になって、「起こされちゃいました・・・」って感じです。

・・・・・ むむむ・・・・

「今頃になって 起こされちゃいました・・って感じです。」

主語は何だ? 時制は?  英語でどう言ったらいいんだ・・・???

Img_0039

とりあえず、教案を作ってみた。

あとは、生徒の反応をみるのみ・・・・

分かってくれるかなあ~~~~~

 

 

 

 

 

 

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