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2016年9月17日 (土)

背広に口紅 - 日本語の使い方で 文脈はどう変わる?

以前、「文脈で日本語の意味が変わる」ってことを考えていたんですが・・・

http://baguio.cocolog-nifty.com/nihongo/2012/02/post-d0b9.html

先日 こんなことがあったんです。

006

「男の勲章」?・・・ってやつですかね。

これで ちょっと日本語での言い方がいくつか浮かんできたんです。

1. 背広に口紅をつけてもらっちゃった

2. 背広に口紅をつけられちゃった

3. 背広に口紅をつけちゃった

4. 背広に口紅がついちゃった

この4つの言い方を比べて、どんな状況を想像しますか?

どんな人が どんな人の背広に 口紅をつけたと想像できますか?

ちょっと夢想してみると、こんな状況もありえるんじゃないかと思うんです:

1. 「もらう」という言葉なんで、「ありがたい」ってことですよね。
   だから、おそらく、好みの女性に 口紅をつけてもらって 嬉しい、
   ってな感じでしょうか。

2. 「つけられた」というのは 受身形なんですが、
   これは日本語文法的には 「迷惑の受身」ともされています。
   「隠していた大好きなお菓子を 食べられちゃった。」
   という使い方と同じですね。

   「口紅をつけられちゃって」 困った、というのが一般的なニュアンスで、
   この場合は、あまり好みではない女性から 一張羅の背広に
   口紅をつけられてしまって、迷惑している、ってことになりますかね。

   ただし、そうばかりではなさそうでもあります。
   迷惑しているよ、と表面上ではいいながら、まんざらでもない・・・という
   状況、雰囲気もありそうです。

3. 「つけた」 というのは 他動詞ですから、
   口紅を塗っている人が 背広に口紅を つけちゃった、わけですね。
   ここには、背広を着ている男の人がいる場合もあるでしょうし、
   いないかもしれない。
   「背広に口紅をつけちゃった。 ごめんなさい。」という状況や、
   好意をもっている相手に対しての意図的な 行動だったり。

   満員電車の中での不可抗力なケースだったら、
   「背広に口紅をつけちゃった。 まっ、いいか。」かもしれません。
   でも、「つけちゃった」なので、少しは加害者としての意識は
   感じられますね。
   口紅の人と背広の人の間には、なんらかの関係があるかも。
   その意味では、上記1の言い方と対になるかもしれないですね。

4. その点、「ついちゃった」は 無責任でしょうか。
   「つく」 は 自動詞ですから、「私がつけたんじゃない。」ってことに
   なるでしょうか。
   そんな気もないのに、たまたま、偶然、口紅がついてしまった。
   意図的ではないということで言えば、
   上記2の 他人の関係が前提になるかもしれません。

・・・それで、文脈が先か、単語が先か・・・って話でいえば、
日本語は文脈が分からんと 単語の意味も決まらないでしょうってことを
いって来たんですが・・・

  
「日本語の論理」 その11 単語の意味は文脈で決まる
http://baguio.cocolog-nifty.com/nihongo/2013/06/post-bd47.html 

確かに 微妙な状況の違いを含めた 意味の違いを特定するには
文脈が分からないと無理だとはおもうんですけど、
それぞれの言葉、単語に一定の意味がある以上は、もちろん単語が
文脈をある程度は制約するってことでしょうか。

国語の教え方と、日本語の教え方には、上記のリンクのように、明らかな違い
があるんですけど、国語が文脈から単語という方向だとするならば、
外国人相手に教える日本語の場合は、基本的には単語から文脈という
方向性がないと かなり困難なことになりますからねえ。

日本人のちっちゃい子供が 幼稚園や小学校に入る前には、
家族の中で 単語の意味を自然に覚えていって、その後に
きちんと書き方や読み方を習うに従って、徐々に分析的な国語教育に
入っていくのだと理解すればいいのでしょうかねえ・・・

・・・・

ん ?

ところで、今回の口紅事件は 上記の1、2,3,4の どのケースか・・ですか?

はい、お陰様で、1 あるいは 2の後者 ですね。

嬉しいなあ~~~~

しかし、惜しむらくは、もうちょっと色っぽい唇の形にして欲しかったよなあ~~。

 

 

 

 

 

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