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2018年4月30日 (月)

助詞「が」と「の」の危険な関係? 日本語教師は狂いそう・・・

 

 

 

私の故郷、長崎県の佐世保では 

「赤ちゃんねとるけん 静かにしとってね。」 

あるいは 「赤ちゃんねとらすけん、静かにしとってくんしゃいね。」

などと言うんです。

(故郷を離れて50年ですから、絶対かって言われると・・・)

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助詞の「が」と「の」の関係を、学習者にどう教えるのがいいか、

その違いだけを解説するのではなく、使い方になんらかの規則性が

あるのか、どう使い分けたらいいのか・・を考えていた時に頭に

浮かんだ文章です。

昨夜は、これを考えていて、ベッドの中でなかなか眠れませんでした。

 

上記の例で言えば、標準的には

「赤ちゃん寝ているから、静かにしておいてね。」

と言う事になるのですが、助詞の「が」が方言では「の」になってしまっている

 

ちょっと並べてみましょう: (接続助詞~~からの文)

「赤ちゃん寝ているから、静かにしておいてね。」〇 標準語

「赤ちゃんが寝とるけん、静かにしとってね。」  △ 佐世保弁

「赤ちゃんの寝ているから、静かにしておいてね。」× 標準語

「赤ちゃん寝とるけん、静かにしとってね。」  〇 佐世保弁

 

・・・つまり、接続助詞の文の場合は、標準語では助詞「が」だけ

佐世保弁では 「が」をあまり使わないんです。

少なくとも「の」を使うのがより自然なんです。

 

では、次の場合は、どうか。(名詞句~~所の文)

「赤ちゃん寝ている所は、隣の部屋のベッドですよ。」〇 標準語

「赤ちゃんがねとっとは、となりん部屋のベッドばい。」△ 佐世保弁

「赤ちゃん寝ている所は、隣の部屋のベッドですよ。」〇 標準語

「赤ちゃんねとっとは,となりん部屋のベッドばい。」〇 佐世保弁

 

・・・つまり、名詞句の文の場合は、標準語では「が」と「の」

どちらでもOKなんですが、佐世保弁は、助詞「の」の方が優勢

 

さて、下の例は、どっちも使いそうですよね?

 

彼女持っているバッグは私の母持っていた物に似ていた。〇

彼女持っているバッグは私の母持っていた物に似ていた。〇

 

社長言っていることが分からんでもないけど、

          無茶通らないこともあるよね。〇

社長言っていることが分からんでもないけど、

          無茶通らないこともあるよね。〇

 

では、次はどうでしょうか?

 

彼女持っているから、あれは彼女のお母さんのバッグだね。〇

彼女の持っているから、あれは彼女のお母さんのバッグだね。×

 

社長言っているから、しょうがないね。〇

社長の言っているから、しょうがないね。×

 

何が言いたいかといいますと、

「彼女が持っているバッグ」のような名詞句の中では

助詞の「が」も「の」も使える

 

しかし、「彼女が持っているから」のような名詞句ではない文では

助詞の「の」は使えない・・・ってこと・・かな?

(上記の場合は、理由・原因を表す接続助詞「から」の句の中ですね。)

(標準語の場合の話です・・・)

 

そして、さらにさらに、ここでビックリなのは、

我が故郷 長崎県佐世保市あたりの方言では

 

「彼女持っとらすけん、ありゃあん人のお母さんのバッグやろね。」

「社長言いよらすけん、しかたんなかたいね。」

などと言えたりするんですねえ・・・不思議ですねえ・・・

名詞句じゃないのに、この場合も、あまり「が」は使わない。

(福岡や熊本あたりでも、「の」を使うことがあるらしい・・・)

 

====

 

では、ちょっと国語辞典で確認してみましょうか。

 

ふる~~い三省堂の国語辞典によれば:

― 文の中の節に使ったとき、主語をあらわす

 「友達の来る日」

 

小学館の日本語新辞典によれば:

― 文の一部になっている句の中の主語を示す

 「坂の多い町だ」「雨の降る日」「歌の上手な子」

 「父のおこるのももっともだ」

 「顔色の悪いのが気になる」

 

・・・これらの辞典に書かれている例文はいずれも

助詞「の」を「が」に置き換えても大丈夫ですね。

そして、例文はすべて名詞句になっていますね。

~~日、~~町、~~日、~~子、~~の(=こと)

 

結論としては、標準語においては、

上記の例文のように名詞句となっている場合は、

日、町、子、事という名詞を~~の文が修飾していて、

その主語を表す助詞としては「が」と「の」のどちらでも

使えるってことになりそうです。

 

一方で、

「社長言っているから、しょうがないね。」のように

名詞句ではなく「~~から」のような接続助詞などの場合は、

主語を表す「が」は「の」にはならない・・ってことのようです。

 

しか~~し、一部の方言においては

「社長言いよらすけん、しかたんなかね。」のように

「の」に置き換えられてしまうこともある・・ようです。

 

そして、こんな文章が見つかりました:

ある本の「古語と方言」という章の中に本居宣長の文章がありまして。

「すべて田舎には、いにしえ残れること多し。

肥後ノ国人きたるがいふことを聞けば・・・」

ここでも「の」が主格を表しているようです。

ってことは、もしかしたら 佐世保弁の「の」は この辺りにルーツが

あるのかもしれません。

今後のお楽しみが出来ました。

・・・ああ、やっと個人的には すっきりしました。

 

 

いろいろとFACEBOOKなどで情報をくださった皆さん、

有難うございました。

なにか、別の言い回しで「が」と「の」の使い方に面白い

発見がありましたら、ご連絡ください。

 

 

ところで、こちらのサイトに こんな論文がありました:

熊本方言における「が」と「の」の使い分けに関し て

https://tohoku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common...

要 旨
本稿は、熊本方言に見られる主格「が」と「の」の使い分けに関して、語順との
関係から考察し、 「が」と「の」の分布を明らかにしたものである。従来、 「が」
と「の」の使い分けは、意味的違いに基づくものであるとされてきたが、熊本方
言における「が」と「の」の使い分けは、 「が」名詞句と「の」名詞句の構造上の
位置の相違を反映したものでもあることを示した。また、方言研究の重要性に関
しても論じている。

標準語では、 (I)に示されるように、主格を表す格標識として「が」が使われる。
それに対し、熊本方言や佐賀方言を含む肥筑方言では、 (2)に示されるように、標
準語の「が」に対して「が」または「の」のいずれかの使用が可能である。
しかしながら、常に標準語の「が」が肥筑方言において「の」に置き換えられ
るわけではない。 (3)のように、他動詞の主語は「の」に置き換えると非文法的な
文になる。

 

・・・ここでは、さらに深い研究がされています。

興味をお持ちの方はどうぞ。

 

 

こちらのサイトでは 我が長崎弁について述べています。

 

~長崎の方言における「の」の使い方~ 」

http://myfavoritenagasaki.blogspot.com/2015/01/blog-post_12.html

長崎弁では、先ほど紹介したものとは異なる用法があるのです。では、一体どう使われるかというと…
 
A:「あれ?テーブル上に置いとったケーキいっちょん見当たらん!」
 
B:「あ~、さっき兄ちゃん食べよったばい!」

後者の「の」主語に付く助詞(主格助詞)として使われるのです。これは、標準語における「が」に相当します。

 

・・・・これは、私が気になった内容とほぼ同じ話です。

 

 

 

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