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2018年2月16日 (金)

「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」を読む - その7

 

「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」を読む - その7

 

 

矢部宏治著 集英社インターナショナル

「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」

を読んでいます・・・・

 

 

さて、いよいよ日本国憲法の核心部分に入ります。

 

011a

 

― 究極の夢「憲法九条二項」と、マッカーサーの暴走

 

― マッカーサーが日本国憲法をつくるにあたって部下たちに

  示した「マッカーサー三原則」には、九条のもとになった

  「戦争と戦力の放棄」についてこう書かれていました。

 

― 「国権の発動たる戦争は、廃止する。

  日本は、紛争解決のための手段としての戦争、さらに自己

  の安全を保持するための手段としての戦争をも、放棄する。

  日本はその防衛と保護を、いまや世界を動かしつつある

  崇高な理想にゆだねる。

  日本が陸海空軍をもつことは、今後も許可されることはなく、

  交戦権が日本軍にあたえられることもない」

 

・・・そして、この本には、その理想というのは国連軍構想を

意味していたと書いてあります。

ところがどっこい・・・・

 

― 大統領選で、マッカーサーもまた無残な敗北を喫して

  しまいます。

 

― 「集団的自衛権」という例外規定が、やがて猛威を振るい

  始め、「個別国家の戦争=違法」という国連の理念はその

  実態を失っていきました。

  その結果、日本国憲法九条二項は現実の世界における

  基盤を完全に喪失してしまうことになったのです。

 

― その結果として起きている現実は、米軍による日本全土への

  永久駐留であり、民主主義国家アメリカの「基地帝国化」

  だからです。

 

 

・・・マッカーサーは国連の理想を描いていて、その過程で

日本国憲法を指示したんだけど、結局大統領にもなれず、

国連も実質的な力を持つことができなかったってことのようです。

で、憲法九条二項が育ての親がいないまま孤児になった。

 

 

― 私たち日本人が知らなければならないのは、戦後世界には

  もうひとつ、とんでもない差別があるということです。

  それが敗戦国である日本やドイツを対象とする、いわゆる

  「敵国条項」(国連憲章第五三条、一〇七条)です。

 

― 現在200近い国が国連に加盟していて、それらの国が

  結んだあらゆる国際協定のなかで、国連憲章が最優先される。

  ・・・これが大西洋憲章で米英が定めた「第二次大戦後の

  世界」の基本的な枠組みでした。

 

― 「(敵国条項の)主な目的は、ドイツと日本の永久的かつ

  有効な非武装化であり、それら二か国の支配である」

 

― 戦後七十年たった現在でも、この敵国条項はまだ削除されて

  いません。

 

― 敵国条項の削除に賛成しない常任理事国とは、いったい

  どの国なのか。 中国なのか、ロシアなのか、それとも

  同盟国アメリカなのか。 あるいは五大国すべてなのか。

 

・・・つまり、削除されていないってことは、世界の国々、

少なくとも英米などの主要国はいまだに日本を疑惑の眼で

見ているってことにはなりませんか。

だから、加盟国の平等を謳いながら、米国による日本の実質的

駐留を認めている、あるいは日本政府も訴えない・・・

ってことですかね?

 

まあ、これを逆に皮肉な言い方をすれば、

日本が変な方向に転がりだしたとしても、アメリカがこれを

抑えにかかるってことでしょうか?

しかし、それは、アメリカの都合でお付き合いはさせられる

ということになるのかな?

 

― なぜ沖縄が21世紀のいまになっても、まだ米軍の

  軍事占領状態にあるのか。 また本土でも、なぜ

  首都圏の上空全体が米軍に支配されていて、日本の

  飛行機はそこを飛べないなどといった、信じられない

  状態がつづいているのか。

 

― 1952年に発効したサンフランシスコ講和条約にも、

  「連合軍のすべての占領軍は、この条約の効力が発生した

  あと、なるべくすみやかに、かつ、いかなる場合にも

  90日以内に、日本から撤退しなければならない」

 

― 右の条文の次に、

  「ただしこの条文の規定は、二国間で結ばれた協定

  (=日米安保条約)による外国軍の駐留をさまたげるもの

  ではない」 

  と書かれていたからです。

 

・・・つまり、この例外規定が優先して、米軍がいまだに駐留

しているってことのようです。

 

― 「日本は、アメリカが国連に対して、沖縄や小笠原などを

  信託統治制度のもとにおくという提案をした場合、無条件で

  それに同意する。」

 

― 信託統治制度というのは、・・・国連の管轄のもとに、将来の

  独立や自治を前提として統治することが原則なのです。

 

― 「そうした提案がおこなわれるまでアメリカは、それらの

  島や住民に対し、行政、立法、司法上のすべての権力を

  行使する権利をもつ」

 

― 結局アメリカは、1972年の沖縄の本土復帰まで、

  一度もそうした提案をしなかった。

 

・・・・つまり、アメリカは提案をしないことによって、沖縄を

独裁的に統治したということになります。

そして、それがなぜ世界の国々から黙認されてきたかというと、

著者の分析はこうなります・・・

 

 

― ところが、この一〇七条がのべているのは、「敵国」に

  対する戦後処理については、そうした条項はすべて適用

  されない、適用除外になるということなのです。

 

― ・・・・日本に駐留する米軍や、・・・支配された沖縄に

  関しては、いくらその実態が「民族自決の原則」や

  「人権の尊重」に反していても、国際法には違反しないと

  いうことになるのです。

 

・・・あらららら・・・日本では国際法上は人権はないみたい

ですねえ。 

 

― 国連で働く日本人の方に・・・・沖縄の現状・・

  「残念ながらそれは無理です。 問題にできるとしたら、

  人種差別についての勧告ということになります」という返事

  がきたのです。

 

― 国連の主要な目的のひとつが、「すべての人間の人権の尊重」

  であると書いています。

 

― それなのになぜ、沖縄の問題だけは、国連の人権理事会が

  任命する特別報告者は声明を出してくれないのか。

  人種差別とは、いったいなののことなのか。

 

― 日本の講和条約をめぐる問題については、国連憲章は効力を

  発揮しないので、沖縄の米軍基地問題について、いくらそれが

  人権を侵害していても、国連人権理事会はアメリカ政府に

  対し勧告をおこなうことはできない。

  しかしそうした現状を放置していることは、沖縄人(琉球民族)

  という「人種のちがう民族」への差別にあたるとして、

  日本政府に対し勧告することはできる。

  これが国際法の現場で実際に起こっている現実なのです。

 

・・・う~~ん。 要するにがんじがらめにされているんですね。

アメリカに勧告はできない。 日本政府に勧告ができるけど、

どうせ政府はそんなものに耳を傾ける心もなさそう。

それに、いろんな勧告は出ているけど、強制力もないし。

 

沖縄県知事が、実質的な決定権がない日本の首相を飛び越して

アメリカに直訴に行くという理由がやっとわかりました。

 

― アメリカの考えとしては、NATO型の集団安全保障体制を

  つくって、その枠組みのなかで日本に米軍が駐留しつづける。

  そうすれば、憲法九条二項によって軍事的空白地帯となった

  日本を防衛するとともに、日本がふたたび軍国主義化する

  ことをふせぎ、周辺諸国の安全も確保することができる

  (オーストラリアやニュージーランド、フィリピンは、

  形式はどうであれ、米軍が沖縄にとどまることを強く望んで

  いました)。

 

・・・なるほどねえ。。。。日本の歴史教育では、日本が加害者で

あったということはあまり教えられていませんから、のほほんと

被害者意識を膨らませてきたんですが、周辺の国々は

よっぽど警戒をしていた、または、いまでもしているんでしょうね。

 

 

― もともと日米安保条約とは、「日本という国」の平和と安全の

  ためではなく、「日本という地域」の平和と安全のために

  結ばれたものであり(だから米軍は日本の国境を越えて自由に

  行動する)、その地域内でもっとも「攻撃的な脅威」となる

  可能性が高いと想定されていたのは、なんと当の日本国だった

  ということです。

 

・・・いやいやいやいや・・・これは参ったね。

そういう目的だったんであれば、すべて腑に落ちるという感じじゃ

ないですか、皆さん。

一番危ないのは日本だから、米軍を置いとかないと、こいつら

何をやらかすか分かったもんじゃないって話です。

 

実はね、私はね、以前から「日本人には薄気味の悪いところがある」

と思っていたんです。

どうも、ある空気の中で、抵抗もせずに、粛々と一定の方向に向かって

一億総火の玉で動き出す怖さを秘めている。

私自身の自戒を込めて言っているんですよ。

私はちょっとしたことで、右翼にも左翼にもなりそうな体質がある。

そういう薄気味の悪さを日本人は持っているから、周りから信用されて

いないんじゃないのか。

 

― キッシンジャーと周恩来の在日米軍基地をめぐる会話

 

― 「もしわれわれが(日本から)撤退するとなると、原子力の  

  平和利用計画によって日本は十分なプルトニウムを保有してい

  ますから、非常に簡単に核兵器をつくることができます。

  ですから、われわれの撤退にとってかわるのは、決して

  望ましくない日本の核計画なのであり、われわれはそれに

  反対なのです」

  「・・・日本が大規模な再軍備に乗り出すのであれば、中国と

  アメリカの伝統的な関係(第二次大戦時の同盟関係ほか)

  が復活するでしょう。」

 

・・・・おお、随分正直なアメリカの態度ですね。

アメリカと中国との同盟こそが伝統的なものだそうですよ。

 

 

― 「米軍機は日本全土の原発を爆撃するために低空飛行訓練を

  している」・・・

 

・・・・ここまで来ると流石に凄いですね。

著者も陰謀論に聞こえるかもしれないが、事実だと述べているんです。

日本の教育は、日本が他の国から本音ではどのように思われて

いるのか、真面目に教える必要がありそうです。

 

― (ドイツの)第五代首相のヘルムート・シュミットも

  ・・・日本の外交問題について意見を求められるたびに、

  「日本は周囲に友人がいない。 東アジアに仲のいい国が

  ない。 それが問題です。」と・・・・

  ・・・それは同じ敗戦国だったドイツからの、本当の、

  心からの助言だったのです。

 

 

― 米英仏ソの駐留軍はすべて1994年までにドイツから

  完全撤退していきました。 現在ドイツに残っている米軍は、

  基本的にNATO軍としての制約のもとに駐留しており、

  そのドイツ国内での行動にはドイツの国内法が適用されて

  います。

 

― アメリカに従属していれば、その保護のもとで「世界第三位の

  経済大国」という夢を見ていられます。

  しかし、ひとたびアメリカから離れて自立しようとすれば、

  世界で一番下の法的ポジションから、周辺国に頭を下げて

  やり直さなければならない。 それはまさに戦後の西ドイツが

  歩んだ苦難の道そのものです。

 

 

・・・皆さん、どうですか?

私は疲れました。 にっちもさっちもいかないじゃないですか。

どうしたらいいんでしょうね。

 

これははっきり言って、官僚には解決できない問題ですね。

よほど理想に燃えた、周辺国に疑念を持たれない、崇高な理念を

世界に発信できるようなスーパー政治家じゃないと無理だなあ。

 

そんな人材を発掘するためにも、高校生たちの日本史や

世界史の授業をしっかり充実して、若い人たちに考えて

もらわないと、戦後100年経ってもこの第二次大戦の

軛からは抜け出ることは無理だと思いませんか?

それを乗り越えないことには、日本は本物の自由主義、

人権主義、民主主義を手に入れることはできないと

思うんですがねえ・・・

 

今から明治維新をもう一度って言うんなら、こういうことを

やれる二十代の人たちを育てていかないと・・・・

 

 

007

== その8 に続く ===

 

 

 

 

 

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2018年2月15日 (木)

「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」を読む - その6

 

「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」を読む - その6

 

 

矢部宏治著 集英社インターナショナル

「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」

を読んでいます・・・・

 

 

ちょっと時間がとれなくてさぼっていましたが、続きをやります。

 

今日は第四章の

「安保村の謎 - 国連憲章と第2次大戦後の世界」のところを読みます。

 

001a

国連というのはそもそもどんな組織なのかという話が続きます。

 

― たとえば中国が尖閣問題で日本を非難するとき、国連総会で

  こんな演説をします。

  「日本政府による尖閣諸島の購入は、世界反ファシズム戦争に

  おける勝利という結果への公然たる否定で、戦後の国際秩序と

  国連憲章への挑戦でもある」

 

― 私たち日本人はこれを聞いて、

  「なにをわけのわからないことを言っているんだ」

  と思います。しかし、これは日本以外の国の人にとっては

  当然の表現、少なくともすぐに意味がわかる表現なのです。

 

・・・確かに、私なんかにとっても、「なんじゃこりゃ」ですが、

この本を読んでいくと「なるほどなあ」と思います。

要するに 日本は軍国主義で敵国だったという話ですね。

日本人はそんなことはすっかり忘れちゃっているし、

マスコミも日本が戦争で叩きのめされてすっかり被害者みたいに

なって、8月15日前後に戦争は惨めだったみたいに書いたり、

放映したりしていますからねえ。

ほとんど加害者としての意識はないですもんね。

フィリピンに住んでいると分かります。

 

― ポツダム宣言が「戦後日本」の原点なら、こちらは

  「戦後世界」の原点です。

  その名は、大西洋憲章(正式名称は「イギリス・アメリカ

  共同宣言」)といいます。

 

 

― ポツダム宣言もそうですが、この大西洋憲章もまた、

  戦後日本の圧倒的主流派である安保村にとって、

  非常に都合が悪いものだからです。

 

― 「第二次世界大戦後の世界」の基本的な枠組みは、

この1941年8月に出された短い共同宣言のなかに、

  ほとんどすべて書かれているのです。

 

― 三。 両国はすべての民族が、自国の政治体制を選択する

     権利を尊重する。 両国は、かつて強制的に奪われた

     主権と自治が、人びとに返還されることを望む。

 

― 七。 そのような平和は、すべての人びとが妨害を受ける

     ことなく、公海・外洋を航行できるものでなければ

     ならない。

 

― 八。 両国は、世界のすべての国民が、現実的または

     精神的な理由から、武力の使用を放棄するように

     ならなければならないことを信じる。

     ・・・いっそう広く永久的な一般的安全保障制度

     が確立されるまでは、そのような国の武装解除は

     不可欠であると信じる。

 

・・・・これを見て、何かに似ていると感じませんか?

これは フランクリン・D・ルーズベルトとウィンストン・

チャーチルの間で交わされた共同宣言だそうです。

それも 戦争が始まる前の話です。

いかに英米がシナリオどおりに戦争をすすめ、その後の

処理までやり通したかということになりますね。

 

― あまい見通しのもとに戦争に突入し、自国の兵士を

  大量に餓死させるような計画ばかり立てていた日本政府

  にくらべて、なんという違いかと思わずにはいられません。

 

・・・ これを読んでいると、今現在のアメリカの大統領は

まるっきり反対の性格のような気がします。

そして、いろいろとキナ臭い話が世界を覆っています。

当時とその後の現実はともかくとして、上に書いてあるような

一見理想主義的な戦略というものが今の世界にあるのか

というのが気になります。

 

 

― この事実は、日本とドイツ、イタリアとの三国同盟が、

  結局軍事的になんの連携プレーもできないまま終わった

  ことを考えあわせると、非常に大きな意味をもっています。

  軍事力だけでなく、政治的スキルにおいて日本とアメリカ・

  イギリスは、まさに大人と子どもほどのちがいがあったのです。

 

 

― なぜこれが重要かというと、それから約1年半後の1946年

  2月にGHQが作成した日本国憲法草案、とくにその戦力

  放棄条項(のちの第九条二項)は、国連憲章そのものよりも、

  むしろこの原案に書かれていた国連の基本理念を見た方が、

  その本質が理解しやすいからです。

 

― 原案にあった理想主義的な「世界政府構想」が、

  日本国憲法九条二項を生んだ

 

― 国連安全保障理事会だけが「世界政府」として軍事力の使用権

  を独占し、ほかの国はそれをもたないという、国連憲章の

  原案にあった理想主義的構想が、のちの日本国憲法九条

  二項が執筆される大きな前提となっているのです。

 

 

・・・さて、今日はここまでにします。

第四章がけっこう長くて 一ページには収まりません。

 

では、次回 その7は いよいよ どのように日本国憲法は

作られたのか・・の核心の部分に入ります。

 

いやあ~~、それにしても、今から50年前、私が高校時代には

日本史の授業はこんなことは教えてくれなかったし、

近現代史は時間切れ大学受験に突入って感じでしたからねえ。

今の高校生たちは どの程度 日本の近現代史を教えて

もらっているんでしょうか・・・なんか危ういなあ。

 

011a

 

=== その7 に続く ===

 

 

 

 

 

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