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2019年4月18日 (木)

村上春樹の本と カズオ・イシグロの本 - 私としては、カズオ・イシグロに軍配

 

 

村上春樹の本と カズオ・イシグロの本 - 私としてはカズオ・イシグロに軍配

 

 

この二人の作家の本に対する 私の感想は 圧倒的に

カズオ・イシグロに軍配を上げるということをまず断って

おきます。

まあ、早い話が、村上春樹の本は好きになれないという話です。

 

さて、私がまず読んだのは、カズオ・イシグロがノーベル文学賞

を取ったとニュースが流れた時でした。

 

私は、通常、いろんな文学賞をとった作家の本を読むという

ことはしないタイプの人間なんですが、この時はたまたま

日本に一時帰国していたことと、カズオ・イシグロが

私の故郷である長崎県の出身だと聞いたからです。

 

それで、私が何を読んだかっていうと、取り合えず、

ノーベル賞の発表があって、数日後に近所の本屋に

並べられていた本を全部買ってきました。

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上の写真のとおり、4冊を読みました。

 

・・・で、その後、今年になって、こんな新聞記事があったんです。

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「平成の30冊」という記事でして、平成時代を代表する

小説は何だったのかの読者投票の結果だと思います。

 

で、その一位になったのは 村上春樹の「1Q84」で、

第二位に カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」が

ランキングしていたわけです。

 

「ほお~~~、カズオ・イシグロの本は凄いと思ったけど、

村上春樹の本はそれより人気があるのか。

それじゃあ、平成を代表するという村上春樹の本も

読まなくっちゃ」

・・と思ったんです。

 

そこで読んだのが以下の3冊です。

3冊といっても、合計すると 2+1+6=9冊

なんですけどね。

001_1 

 

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まず読んだのが「海辺のカフカ」だったんですが、

フランツ・カフカの本をむか~~し読んで、好きだったので、

これを読んでがっかりしました。

女優のカフカは好きですけど・・・。

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・・で、村上春樹はダメだという話を某映画監督と

議論していたら、その監督が

「村上春樹のデビュー作は読んで感動した。」

と言うもんだから、じゃあ読みましょうってことに。

で、私の感想としては、「海辺のカフカ」よりも

「風の歌を聴け」の方が爽やかでよい、

流石にデビュー作だと思ったんです。

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しかし、上の記事で一番人気は「1Q84」だと

言うので、あまり乗り気ではなかったんですが、

今年の一時帰国の間に買ってきたんです。

 

結論的には、「1Q84」が何故平成時代の人気

ナンバー・ワンなのか、理解できません。

 

で、ここから、村上春樹と カズオ・イシグロを

比較する形で、私の率直な感想を書いてみたいと

思います。

村上春樹のファンの方は 読まない方が

いいと思います。

(気分が悪くなると思うんで・・・笑)

 

===========

 

まず最初に私が過去に読んだ小説や観た映画の中で

どんな作家や作品が好きだったかと言いますと、

 

作家では、芥川龍之介、フランツ・カフカ、小林秀雄、

亀井勝一郎、井上靖、 ショーペンハウアー・・・など。

ただ、どの作品がどうかというのはすっかり忘れましたが。

映画では、圧倒的に「2001年宇宙の旅」でした。

絵画では、割とシュールな絵が好きです。

 

まず、村上春樹の作品ですけど、短く言ってしまえば、

準サイエンス・フィクション、準ポルノ小説、

異次元ミステリー小説・・・という感じでした。

 

確かに、「1Q84」では、当時の世相を反映して

社会問題などを題材にしているんですが、

SF、ポルノ、ミステリーの色が濃いので

その中に社会問題の深刻さが埋もれてしまい、

訴えてくるものがなかったんです。

 

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その上、一番辟易したのは、

形容句のしつこい長さと説教臭さ、それに何度も

繰り返される説明とエロいセックスシーン。

「1Q84」は文庫本で6分冊になっているんですが、

このストーリーなら1冊で十分だろうと思ったことでした。

 

そして、異次元を描いているので当たり前といえば

当たり前なんだけど、ひとつひとつの文章が

始めっから異次元な描き方なので、

「こんなのありえな~~い」って感じ。

 

その点で言えば、カズオ・イシグロの方は、

ひとつひとつの文章は、どこにでもありそうな

現実的な事柄を積み上げているのに、いつの間にか

異次元に連れ込まれるという感じでした。

 

要するに、村上春樹の本は、忍耐を強いられながら

読み続け、結局引き込まれなかったのに対し、

カズオ・イシグロの方は、文章が長いにもかかわらず

ついつい読んでしまい、引き込まれていくという

感じでした。

 

村上春樹は1949年生まれなので、私とひとつ違いで、

同年代を生きてきたんで、作品の中には懐かしい事柄が

いろいろと書かれていて嬉しいこともありました。

つまらないことですが、

珈琲店で、殻付きピーナッツを食べて、その殻を

床に敷き詰めるように捨てる・・・とかね。

 

ただ、そういう同時代人としての懐かしさはあるに

しても、「これじゃノーベル賞は無理だわ・・・」

って思うわけです。

 

カズオ・イシグロの作品は、真摯で紳士だと思います。

社会問題、将来の問題を真正面からとらえて、

誰にでもわかる文章を積み上げていながら、

いつのまにか異次元に連れられていく感じです。

 

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そのシュールな感じに「2001年宇宙の旅」に通じる

感覚を私は覚えたんです。

 

・・ってことで、私的には

完全に カズオ・イシグロに軍配を上げます。

 

最後に、「1Q84」でひとつだけ私の記憶に残ったもの。

 

「世の中の人間の大半は、自分の頭でものを考える

ことなんてできない -- それが彼の発見した

「貴重な事実」のひとつだった。 

そしてものを考えない人間に限って他人のはなしを

聞かない。」

 

まさに、私のことです。

そして、仮に話を聞いたとしても、

自分に都合のよい部分しか頭に入ってこない。

そのように私の頭はプログラムされている・・・かな??

 

だから、村上春樹の本は私の心に入ってこない。

 

― おわり -

 

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