「ブッダのことば」 (20) 子供が死んでも嘆き悲しむな
岩波文庫の「ブッダのことば」(スッタニパータ)(中村元 訳)を読んでいます。
原始仏教のお釈迦様の言葉です。
「六、サビヤ」
サビヤさんは、遍歴の行者で、一人の神から
「サビヤよ。<道の人>であろうとも、バラモンであろうとも、汝が
質問をしたときに明確に答えることのできる人がいるならば、汝はその人の
もとで清らかな行いを修めなさい。」と言われて いろんな有名な人たちに
教えを請いに歩き回ったんです。
それで、満足のいく結果が得られずに 最後にゴータマ・ブッダ(お釈迦様)の
ところに来たというわけです。
ってことなので、この章は いかにブッダが凄いかってことをいろいろと
書いてあるんです。
そこで、この時のブッダの立場がわかる記述があるんです:
「ここにおられる<道の人>ゴータマもまた衆徒をひきい、団体の師であり、
有名で名声あり、教派の開祖であり、多くの人々から立派な人として崇められ
ている。」
「<道の人>は若いからといって侮ってはならない。 軽蔑してはならない。
たといかれが若い<道の人>であっても、かれは大神通があり、大威力がある。」
そのゴータマ・ブッダに、サビヤさんはいろんな質問をするんです。
513 サビヤがいった、<修行者>とは何ものを得た人のことをいうのですか?
何によって<温和な人>となるのですか? どのようにしたならば、
<自己を制した人>と呼ばれるのですか? どうして<目ざめた人>
(ブッダ)と呼ばれるのですか? 先生! おたずねしますが、
わたくしに説明してください。
・・・いやはや、随分遠慮のない 機関銃のような質問ですね。
そして、お釈迦さんは この質問にひとつひとつ答えるんですけど、
ここでは その一部だけをご紹介します。
517 あらゆる宇宙時期と輪廻と(生ある者の)生と死とを二つながら
思惟弁別して、塵を離れ、汚れなく、清らかで、生を滅ぼしつくすに
至った人、--かれを<目覚めた人>(ブッダ)という。
530 内的には差別的<妄想とそれにもとづく名称と形態>とを究め知って、
また外的には病いの根源を究め知って、一切の病いの根源である
束縛から脱れている人、--そのような人が、まさにその故に
<知り尽くした人>と呼ばれるのである。
・・・そして、すべての質問に答えたお釈迦さんに対して、サビヤさんは
いろんな言葉を使って賞賛するわけです。
544 神々を含めた全世界のうちで、あなたに比べられる人はおりません。
という風に。
そして、サビヤさんはゴータマ・ブッダさんに帰依し、修行のあとに聖者の
一人となったとあります。
この後の章 「七、セーラ」は、バラモンであるセーラさんが、最初はブッダに
疑いの目を向けていたのに、三百人の仲間とともに出家し、聖者となったこと
を書いてあります。
「八、 矢 」
この章のタイトルですが、巻末の解説によりますと:
近親が亡くなった悲しみに打ちひしがれるな、という教えを述べている一節である。
或る在俗信者が子を失って、悲嘆のあまり、七日間食をとらなかったのを、
ブッダが同情して、かれの家に赴いて、かれの悲しみを除くために、この教えを
説いた。
と書いてあります。
574 この世における人々の命は、定まった相なく、どれだけ生きられるか
解らない。 惨ましく、短くて、苦悩をともなっている。
576 熟した果実は早く落ちる。 それと同じく、生まれた人々は、
死なねばならぬ。 かれらにはつねに死の怖れがある。
580 見よ。 見守っている親族がとめどなく悲嘆に暮れているのに、
人は屠所に引かれる牛のように、一人ずつ、連れ去られる。
584 泣き悲しんでは、心の安らぎは得られない。
ただかれにはますます苦しみが生じ、身体がやつれるだけである。
586 人が悲しむのをやめないならば、ますます苦悩を受けることになる。
亡くなった人のことを嘆くならば、悲しみに捕らわれてしまったのだ。
593 (煩悩の)矢を抜き去って、こだわることなく、心の安らぎを得た
ならば、あらゆる悲しみを超越して、悲しみなき者となり、
安らぎに帰する。
嘆き悲しむのは無益である、ってお釈迦さんは言っているんです。
普通の人ならば、泣き悲しむことが人間らしくて、愛すべきで、素晴らしい
ことだと思うんですが・・・
煩悩をなくす、悲しみを超越するということが、いささか「冷たい人間」に
なることのように響きませんか?
確かに客観的にみれば お釈迦様のおっしゃる通りなんですけどね・・・
でも、根底のところで、人間の心の強さというものも分かっていらっしゃる
ということなんでしょうね。
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